JS No.41 |
前回、WE-618Bに触れましたので、今回は、オルトフォンの純正であるJS(Jorgen Schou)のトランスについて話してみたいと思います。
当時の資料には、昇圧用トランスとしてJSのNo.384とNo.251が載っています。No.384は、1.5Ω:200Ω(昇圧比約12倍)で、No.251は、1.5Ω:200kΩ(昇圧比約300倍)となっています。両方とも、一次のインピーダンスは1.5Ωですので、オルトフォンのカートリッジ用ですね。ただ、使用方法については若干異なっていたのではないかと思います。No.384は、2次側は50/200Ωですので、おそらくトランス受けを想定した仕様でしょう。一方、No.251は、200kΩと高いので、そのままアンプに接続できそうです。ただ、昇圧比が300倍と非常に高いので、プリアンプを通すとプリの許容入力電圧がオーバーしてしまう可能性があります。本来、このトランスは、2次側にイコライザー回路(減衰)を設けて使用することが前提だったようです。ただ、現在、このような方法は一般的に使用されていませんので、No.251というトランスは使い辛いトランスと言えると思います。それに比べ、No.384は昇圧比が低いので、オルトフォンのモノーラルの昇圧トランスに使っている方が多いようです。ただ、厳密にいえば、このトランスの2次側は低インピーダンスですので使用するアンプの入力インピーダンスが高いと、高域にピークを生ずることが考えかれます。
さて、JSのトランスの中には、No.41というものがあります。No.41は、1.5Ω:20kΩ(昇圧比120倍)です。昇圧比は少し高いですが、そのままプリアンプに接続できます。当時のプリアンプは現代のプリアンプに比べて、PUの入力感度が低くかったので、このような昇圧比になったのでしょう。
以上、スペックの観点から考察してみました。No.41以外は実際に音を聴いているわけではありませんので、あしからず。